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コンセプトが出来るまで 第5回 「ハードとソフトはつながっている!」

↑打ち合せの様子。


そしてもう一つ、大きなヒントとなった経験がありました。
それは、介護施設建設のプロポーザルについてお客さまからお声がかかり、ある設計事務所とチームとなって計画策定に取り組んだ時のことです。

その時、設計事務所のI所長が何度も言っていたのが、「ハードはソフトがあってこそ」という考え方。
「建築主の理念・方針(ソフト)を、建物というハードに翻訳する」ことを各自がプロとしての誇りをもって徹底的に追求し、納得のいくものを創り上げていく作業は、「お客さまの夢の実現のために、建物はその追い風になることが出来る」ことを確信させる経験でした。
(ちなみに、この時「施主の想いを可視化する」作業に取り組んだ経験が、【コンセプトブック作成】という現在の取り組みにつながっています。)

…ちょうどその頃、世の中はサービス付き高齢者向け住宅の建築ブーム。
多くの建物が竣工し、毎週のように内覧会が開催されていました。

でも、それらを見て回るうちに、そのプロポーザルの時にはあった「ハードはソフトを翻訳したもの」という視点が見えない…と感じる建物があることに気がつきます。

「どうしてかな?Iさんは、あれほどハードとソフトはつながっている、って言ってたのに。」。

…疑問に思い、高齢者住宅フェアやセミナーに参加するうちに、もっと重大なことに気がつきます。

同じサービス付き高齢者向け住宅といっても、たとえば「医療に強い事業者向け」「介護福祉に強い事業者向け」「マンション販売のノウハウをもっている事業者向け」では、まったくといって良いほど、ビジネスモデルは違うのです。(たとえば、対象とする入所者の介護度によっても計画が変わってくる)
それなのに、同じような建物がたくさん出来ている。

過当競争になりつつある今なのに、そのビジネスモデル(ソフト)とハードを連携させるということにもっと真剣に取り組まなくても大丈夫なんだろうか?
ハードは一度出来上がってしまうと、そんなに簡単に方向転換ができないのに!

建設工事は人生を左右するほど大きな投資です。
だからこそ、建物は、“建築主の夢の実現の追い風になる”という役割をもっと真剣に果たすことを考えなければいけないのではないのかな?

というよりも、「ハードが周りに及ぼす力」があるということ、つまり「建築の持つ力」が実はとても大きいということを、私たちはもっと発信し、みんなに知らせなければいけないのではないか、ということを、このとき真剣に考え始めたように思います。


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